近年、売上や利益が増えているのに「経営が苦しい」と感じる企業が増えています。 決算書上は業績が好調でも、現場では資金繰り・人件費・コスト上昇の負担が重く、実感が伴いません。
背景には、物価高・営業利益率の低下・キャッシュフロー悪化という3つの要因が絡んでいるのです。 ここでは、それぞれの理由を整理しつつ、企業が今とるべき対応をお伝えしますので、参考にしてみてください。
◆要因①:物価高とコスト上昇が利益を圧迫

物価高とコスト上昇が利益を圧迫しています。
売上は増えても利益の質が落ちる
原材料・エネルギー・物流費などの高騰により、企業の仕入れコストが上昇しています。 その結果、売上は物価高によって名目上は伸びていても、利益が追いつかない状況が生まれているのです。 価格転嫁が十分でない企業ほど営業利益率が下がり、「業績がいいのに苦しい」と感じやすくなります。
たとえば、同じ売上でも、仕入れや人件費が数%上がれば、営業利益は大きく減少します。
数値上は「増収増益」となっても、実際には現場の負担が増えているというのが現実です。
◆要因②:営業利益率の低下が経営体力を奪う
営業利益率の低下が経営体力を奪ってしまいます。
売上よりも“稼ぐ力”が重要に
営業利益率とは、売上に対する営業利益の割合を示す指標で、本業の収益力を表します。 この比率が下がると、同じ売上を上げても得られる利益が減るため、資金繰りが苦しくなるのです。
多くの企業が「売上を伸ばすことで利益を確保」しようとしますが、利益率が低いままだと、売上を増やすたびに在庫・仕入・人件費といった負担も増加します。
つまり、売上拡大が逆に苦しさを生む構造です。
営業利益率が低い企業は、景気や為替の変動にも弱く、少しのコスト上昇で黒字が消えるリスクがあります。
今後は「どれだけ売るか」よりも「どれだけ残すか」を重視する視点が欠かせません。
◆要因③:キャッシュフローのズレが“現金不足”を招く
キャッシュフローのズレが現金不足を招きます。
利益があってもお金が残らない
「帳簿上は黒字なのに現金が足りない」という悩みも多くの企業に共通します。 売上が増えても、回収が遅れたり、支払いが先行したりすることで資金が枯渇するのです。
たとえば、売上代金が翌月入金で、仕入れや人件費を先に支払う場合、利益があってもキャッシュが不足します。
在庫の積み増しや新規投資を行えば、さらに資金繰りは厳しくなります。
この“利益と現金のタイムラグ”が、業績が良く見えても苦しさが増す大きな理由です。
企業は、キャッシュフロー計画を明確にし、運転資金を可視化することが求められます。
◆“業績がいいのに苦しい”構造の本質
業績がいいのに苦しいという構造の本質をみていきましょう。
見かけの業績と実質の経営力のズレ
現在の企業経営では、「見かけ上の業績」と「実質的な経営余力」に大きな差が生まれている状態です。 物価高により売上は伸びても、利益率の低下やコストの増大で内部留保は減少。 結果として、手元資金や社員への還元余力が乏しくなっています。
また、薄利多売のビジネスモデルでは、少しの売上減少でも一気に赤字化するリスクがあります。
この構造的な脆弱さが、多くの企業を「苦しい」状態に追い込んでいるのです。
◆企業がとるべき対策:量より質の経営へ
それでは、企業はどのような対策をとるべきなのでしょうか。
利益率重視の経営に転換を
第一に、営業利益率を高める経営へ転換することが必要です。 単価を上げる努力、無駄なコストの削減、付加価値の高い商品・サービスの開発を進めるべきです。 「価格転嫁」だけでなく、「価値転嫁」が重要になります。
資金繰りを見える化し、先行負担を抑える
次に、キャッシュフロー管理の精度を上げ、入金と支出のタイミングをコントロールすることです。 在庫の最適化や回収サイト短縮、支払条件の交渉など、現金の流れを整える工夫が欠かせません。
◆まとめ
表面上の業績が良くても、利益率や資金繰りが悪化していれば企業は疲弊します。 逆に、売上が伸び悩んでも営業利益率が高く、キャッシュが安定している企業は強いです。
今の時代、必要なのは「規模の拡大」ではなく「経営の質の強化」です。
数字に安心せず、内部の収益構造を見直すことこそが、長く生き残る企業の条件と言えるでしょう。
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