「社員が指示された仕事しかしない」「もっと主体的に動いてほしい」と感じている経営者や管理職は少なくありません。しかし、主体性は「もっと積極的に」と伝えるだけで生まれるものではないでしょう。そこで注目されているのが「ジョブクラフティング」という考え方です。社員自身が仕事の進め方や周囲との関わり方、仕事に対する捉え方を工夫することで、働く意味ややりがいを見つけていきます。
本記事では、ジョブクラフティングの意味やメリット、企業が取り入れる際のポイントについて解説します。
◆ジョブクラフティングとは?

ジョブクラフティングとは、社員が自分の仕事に対して主体的に工夫を加え、より働きやすく、やりがいを感じられる形へ変えていく考え方です。会社から与えられた仕事内容そのものを大幅に変更するのではなく、日々の業務の中で小さな改善を積み重ねていく点に特徴があります。
与えられた仕事を「自分の仕事」に変える
同じ業務でも、ただ指示どおりにこなす場合と、自分なりに目的を考えて取り組む場合では意識が異なります。「どうすればもっと効率良くできるか」「誰の役に立っているのか」と考えることで、仕事への向き合い方も変化するでしょう。
◆ジョブクラフティングの3つの考え方
ジョブクラフティングは、主に「仕事」「人間関係」「仕事の捉え方」という3つの方向から考えられます。必ずしも仕事内容そのものを変更する必要はありません。
① 仕事の進め方を工夫する
業務の順番を変えたり、テンプレートを作成したりするなど、自分なりに仕事を改善する方法です。小さな工夫でも、効率化や負担軽減につながる可能性があります。
② 周囲との関わり方を変える
他部署の社員へ相談する、得意な人と協力するなど、人間関係の築き方を工夫する方法もあります。一人で抱え込むより、新しい知識や視点を得やすくなるでしょう。
③ 仕事の意味を捉え直す
日々の業務が「誰の役に立っているのか」を考えることもジョブクラフティングの一つです。単純に見える作業でも、その先にいる顧客や同僚への影響を意識すると、仕事の意味を感じやすくなります。
◆ジョブクラフティングが注目される理由
働き方や価値観が多様化する中、会社が一方的に仕事の意味やキャリアを決めるだけでは、社員の意欲を引き出しにくくなっています。
社員の主体性を引き出しやすい
自分で工夫できる余地があると、「やらされている」という感覚を減らせるでしょう。自ら考えて行動する経験が増えることで、主体的な働き方にもつながります。
仕事へのやりがいを見つけやすい
自分の強みや興味を業務へ生かせれば、仕事に対する納得感も高まりやすくなります。会社から評価されることだけではなく、自分自身で仕事の価値を発見できる点も特徴です。
業務改善のきっかけになる
現場で働く社員だからこそ気付ける非効率や課題があります。社員の工夫を受け入れることで、小さな改善が組織全体へ広がることも期待できます。
◆企業がジョブクラフティングを取り入れるポイント
「今日から自由に仕事を変えてください」と伝えるだけでは、うまく機能しません。社員が安心して工夫できる環境づくりも必要です。
社員に一定の裁量を与える
細かな手順まですべて会社側が指定していると、工夫する余地がなくなります。守るべきルールを明確にしたうえで、進め方について一定の裁量を持たせることが大切です。
改善提案を否定しない
社員が提案しても「今までこの方法だから」と否定され続ければ、主体性は失われていきます。まずは意見を聞き、試せるものは小さく実践する姿勢が求められるでしょう。
放任と混同しない
ジョブクラフティングは、社員にすべてを任せる考え方ではありません。会社としての目標や役割を共有したうえで、その範囲内で工夫してもらうことが重要です。管理職による適切なフォローも欠かせません。
◆まとめ
ジョブクラフティングとは、社員自身が仕事の進め方や人との関わり方、仕事の意味を工夫しながら、自分らしい働き方を作っていく考え方です。企業が細かな指示を増やすだけでは、社員の主体性を引き出すことは難しいでしょう。一定の裁量を与え、社員から生まれた工夫や提案を受け入れる環境づくりが重要です。一人ひとりが「自分の仕事」として向き合える組織を目指すことが、働きがいや生産性を高める第一歩になるでしょう。
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