今回は、「人が辞めていく。組織、チームの崩壊を招く会社の特徴」というテーマでお話しします。あなたの会社の定着率はどのぐらいでしょうか?90%?70%50%?言うまでもなく、育ててきたメンバーが辞めること、特に、優秀な社員が辞めてしまうことは組織にとっては、大きな損失です。
組織のパフォーマンスや生産性は低下するし、その穴を埋めるための採用活動にはコストが生じます。どうすれば離職者・退会者を減らすことができるのでしょうか?
もしかしたら、その大きな原因は、会社や組織の仕組みや文化そのものに問題があるからかもしれません。そこで今回は、「それでは人が辞めていってしまう」と私が思う会社・組織の特徴を5つご紹介します。
もちろん、ただ単に特徴を上げるだけでなく、その問題を解決するためにはどうしたらよいのかもお話しします。人材の定着率に悩む経営者の方は、自分の会社やチームと照らし合わせ、改善することで、より強い組織を作っていくことができますので、是非、最後までご覧ください。
①安心を感じられる文化がない

それでは早速、組織・チームの崩壊を招く会社の1つ目の特徴は、「安心を感じられる文化がない」です。ギスギスした雰囲気の職場は、すぐにわかります。特にミーティングが異様に同調的だったり、静かだったりするのは、よくない傾向です。
これは会議のメンバーが、意見やアイデアを口にしたら、批判されるのではないかと恐れているときに示しがちな態度です。つまり、リーダーは恐怖の文化の中で仕事を動かしている可能性が高いと言えます。その結果、安心して仕事ができないスタッフは、ミスをする可能性が高く、リスクを引き受けたがらず、健全な対立も避けたがり、仕事を通じて成長する可能性が低くなる原因にもなります。
では、どうすればこういった状況を回避できるか?まずは、リーダーであるあなたが、新しいアイデアに対してオープンであることを示すことが大事です。例えば、ミーティングでは、答えを示す前に質問を投げかけ、それに応えてくれた人に感謝の気持ちを積極的に伝えて、さらに追加で質問をしてみてください。また、難しい問題についてブレインストーミングをするときなどは、すべての意見を考慮に入れ、「間違った答え」は存在しないということを必ず強調します。
もし、素晴らしいアイデアが生まれた場合は、すぐにメンバーに試しにやってもらい、次のミーティングでその結果を発表してもらいます。プロジェクトや戦略に、フィードバックを取り入れるほど、メンバーは自己重要感を持ち、安心を感じます。さらに、一定の謙虚さを示すこともリーダーとして大事です。
リーダーが自分の失敗を認めたり、あるいはあらゆる質問に答えられるわけではないことを認めると、メンバーに「失敗」してもいいのだというメッセージを伝えることができます。失敗は成長するチャンスだという見方をリーダーであるあなたが取れば、スタッフも同じような考え方をすることができ、心理的安全・安心感のある職場環境を作っていくことができます。
②安全すぎる職場環境

組織・チームの崩壊を招く会社の2つ目の特徴は、「安全すぎる職場環境」です。先ほど言ったことと真逆の事を言っているようですが、「プレッシャーと生産性における研究」によると、職場における適度なプレッシャーや摩擦は、人が成長する上で必要だということが示されています。ここで重要になのは「適度」であること。もし、過度にプレッシャーを感じると、その人は何が重要かを見失って、切羽詰まり、非倫理的な手段を使ってでも人より秀でた働きをしようとするかもしれません。
その一方で、まったくプレッシャーを感じない環境では、自分の仕事に意味があるのかと疑問に思うメンバーが出てくる可能性があります。仕事に意味や目的を見出せない人は、目的意識の高い組織で働く人よりも、自分のポテンシャルを発揮せず、生産性が低く、組織への忠誠心も低いことが多いです。では、どうすればこうした状況を回避できるのでしょうか?
健全なレベルのプレッシャーを職場内に生み出す簡単な方法は、チームに定期的なフィードバックを与え合うことです。しかも、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックの両方を与え合うことが大切です。というのも、ネガティブなフィードバックでも、よく考え抜いた方法で、決めつけではない形で与えることが出来れば、有意義な目標を設定することができるからです。
そして、スタッフがうまくやれている部分を承認し、彼らの役割が貢献の大小にかかわらず、組織全体の目標に貢献していることを伝えることです。すると従業員は、組織全体における自分たちの位置づけを理解し、一段と大きな目的意識を持てるようになっていきます。
③タスクの優先順位が明確ではない

組織・チームの崩壊を招く会社の3つ目の特徴は、「タスクの優先順位が明確ではない」です。
例えば、次のような状況を考えてみてください。あるとき、ある一人のスタッフのもとにたくさんの数の新規顧客の対応とたくさんの既存の顧客データをシステムに入力するという2つの仕事が同時に発生したとします。そして、どちらに時間を費やすべきか選択を迫られています。
そのスタッフの上司は日頃から、「新規のお客様に対しての遅いサービスは悪いサービスだ」と断言してきました。しかし、同時に既存顧客データの入力を間違うとクビになる可能性があるということをそのスタッフはよく知っています。
したがって、どちらを優先してやるのかをスタッフは毎日、ハラハラしながら仕事をこなさなくてはなりません。これは非常に大きなストレスですよね?その結果、このスタッフは仕事自体を嫌いになってしまって結局は退職に至ってしまいました。
これは、極端な事例ですが、けっして、珍しい悩みではありません。実際、明確な優先順位がない中、タスクの選択を強いられると、その職場はストレスでイライラした人の集まりになってしまいます。
では、どうすればこうした状況を回避できるのか?例えば、ディズニーは非常に良い例です。ディズニーランドのスタッフは全員、タスクの優先順位を示したリストを与えられています。1番は安全、2番目は礼儀、3番目はショーで、効率は最後と言う風に明確になっているのです。その為、やっかいな状況に陥っても、どう対処すべきかを迷うスタッフはいません。
このディズニーランドの事例を参考に、リーダーはメンバーに期待する重要事項を一貫性のある明確なリストにして、全体に共有できれば、安定したチームを作りだすことができます。
④タスクが退屈か簡単すぎる

組織・チームの崩壊を招く会社の4つ目の特徴は、「タスクが退屈か簡単すぎる」です。
例えば、行きたくもない仕事のイベントに行った事がある方は、そのことを思い出してみてください。
つまらないトピックについて、多くの人と話をしなければならなかったかもしれません。あるいは、何時間も座り続けてセミナーを受けなければならなかったかもしれません。その後、どんな風に感じましたか?
おそらく、そんなに働いたわけでもないのに疲れ果てたのではないでしょうか?なぜこんなことがおきるのか?それはあなたが自分の感情を抑えつけていたからです。どんな感情も、発散するのではなく、抑えつけようとすると、エネルギーを消耗するものです。
たとえその感情が「退屈」という感情だったとしてもです。やることがあまりないと、従業員はやる気を失い、気分も暗くなりがちになります。そして、その感情を抑えつけていると、心身ともに疲れ果ててしまいます。結果、仕事に満足できず、関与しなくなり、この仕事は自分に合っていないのではないか?などと考えるようになっていきます。
では、どうすればこうした状況を回避できるのでしょうか?メンバーにチャレンジの機会を与えましょう。自分の仕事に退屈を感じているメンバーの中には、自分の能力を伸ばしたり、時間に余裕があるときに、チャレンジングな仕事を引き受けたりすることに前向きな人も結構います。
但し、このチャレンジングなタスクを与える前に、スタッフの関心や情熱の対象を聞いてみることは必要です。その回答に基づいて、そのスタッフの知識やスキルを高めるタスクを与え、正しい方向に成長するのをリーダーとして徹底サポートしてください。
また、いくつかのターゲットを設定した学習課題を与えたり、ターゲットに到達する方法を示したロードマップを提供したりすれば、スタッフの成長の軌跡をたどる助けにもなります。
⑤信頼できるリーダーの不在

それでは最後に、組織・チームの崩壊を招く会社の5つ目の特徴は、「信頼できるリーダーの不在」です。
リーダーとメンバーの信頼関係は、チームの成果を高め、収益にもプラスになります。一方、信頼が欠如していると、職場の士気は低下し、チームは手探りで仕事をすることになりかねません。もし、メンバーが、リーダーを信頼していなかったら、どうやって結束して活動し、チーム、そして、組織の共通目標に向かって前進すればよいのでしょうか?
あなたがリーダーという立場の方でしたら、メンバーの立場になって考えてみてください。あなたは明確な方向性のない職場で働きたいと思いますか?
では、どうすればこうした状況を回避できるのでしょうか?まず、リーダーとして自己認識を磨くことをおすすめします。重要な決断を下す前に、あなたをこれまで動かしてきたことは何かを考えてみてください。あなたは事実に基づき選択するタイプでしょうか?
それとも主観に基づき選択するタイプでしょうか?自分とは違う視点で物事を考えてみたことがあるでしょうか?自分の努力で埋められる知識不足はないでしょうか?
ただ単に自問自答するのではなく、チームメンバーに直接聞いて、フィードバックをもらうことも大切です。そして、そのフィードバックに基づき行動を起こせば、オープンで前向きなコミュニケーションの文化を構築でき、それが信頼関係に繋がっていきます。
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